「“ゴネ得”と勘ぐられるな」 新幹線“負担公平性”論争――佐賀1400億円の壁に国交省が切る「法令改正」という劇薬

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国土交通省の水嶋智事務次官は、未整備区間が残る西九州新幹線の整備促進に向け、地元負担を軽減する法令改正を検討する考えを示した。実現すれば大阪延伸が難航する北陸新幹線にも適用される可能性がある。局面打開の一手になるのだろうか。

特定自治体負担軽減への不満

北陸新幹線小浜・京都ルートで延伸先の候補に挙がる京都駅(画像:高田泰)
北陸新幹線小浜・京都ルートで延伸先の候補に挙がる京都駅(画像:高田泰)

 整備新幹線は1973(昭和48)年、運輸省(現国土交通省)から東北新幹線の盛岡駅(岩手県盛岡市)~新青森駅(青森県青森市)間と、北海道、北陸、九州、西九州の4新幹線が整備計画に入り、1989(平成元)年から順次着工されてきた。うち、東北と九州の2路線は全線が開通している。

 地元負担の割合は過去に見直されたことがある。1989年に決まった旧スキーム(枠組み)では、

・JR:50%
・国:35%
・都道府県:15%

だったが、1996年に現在の新スキームに改定された。しかし、同じ路線の整備が続いている以上、特定の都道府県を対象に地元負担が大きく変わると、沿線から不公平との不満が上がるはずだ。

 北陸新幹線の大阪延伸で与党整備委員会の西田昌司委員長が京都府の負担軽減に言及したのに対し、石川県の馳浩知事は3月の記者会見で「石川県も負担した。京都府だけおまけしろというのは通用しない」とくぎを刺した。九州の県で新幹線整備を担当した職員は

「佐賀県や京都府の事情は分かるが、“ゴネ得”と勘ぐられる決着は避けるべき」

と指摘する。佐賀県と京都府に共通するのは、

「新幹線誘致を積極的に求めていない」

ことだ。国の施策に公平性は欠かせないが、新幹線を望んでいない都道府県に重い地元負担を押し付けていいのかという疑問も残る。法令改正をする、しないにかかわらず、国交省が進む道は険しくなりそうだ。

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