日本で「公営バス無料化」は可能か? 専門家が解説する3つの効果とは? 急進左派のニューヨーク市長当選から考える
ニューヨーク市長選で当選したマムダニ氏は、34歳で市初のイスラム教徒市長。市営バスの無料化を含む生活支援策は、交通インフラの社会保障化や地域経済活性化にも直結し、日本の自治体財政や公共交通議論に示唆を与える。
段階的無料化の実践

公営バス無料化の議論は
「財政負担 vs 社会的権利」
の対立構造に単純化されがちである。しかし本質は、公共交通を何のために公共化するのかという思想にある。移動の権利の確保や利便性の拡充だけでなく、地域経済の活性化や大気汚染の緩和など、多様な社会的効果も念頭に置くべきだ。都市や地域の目的に応じた議論が必要である。
無料化の是非に終始するのではなく、社会全体で移動の機会をどう支えるか、公共の交通をどう育てていくかという合意形成も問われている。
現状、日本ではその議論は未成熟である。財政的持続性と社会的包摂を両立させるデザインが次の政策課題となる。筆者としては、
「段階的・目的別無料化」
を中間解として提示する。生活支援、高齢者移動、教育アクセスなど分野を限定すれば、日本でも現実的に「移動の社会保障」を実現できる可能性がある。
議論だけでは政策は進まない。まずは無料化実験を民営よりは行いやすい公営バスで無料化を時限的に実施し、実験・検証・評価を重ねることが不可欠だ。読者には、公共のバスをどうみんなで育てるべきかを考えてほしい。