BYDが「楽天」で買える日――ECモール侵攻が浮き彫りにする、日本メーカー「ディーラー依存」の弱点

キーワード :
, , ,
BYDが楽天市場にEVを公式出店、購入手続きから納車までオンライン化を実現した。EV普及率3%の日本市場で、生活圏接触を拡大し、販売構造と価格競争を揺るがす新たな地殻変動が始まろうとしている。

オンライン販売が意味するもの

BYD 楽天市場店(画像:BYD JAPAN)
BYD 楽天市場店(画像:BYD JAPAN)

 BYD Auto Japanが楽天市場に公式出店するニュースが注目を集めている。今回のシステムにより、ECモール上で電気自動車(EV)の購入申込みが可能になる。狙いは接触機会の最大化とデジタル顧客情報の活用だ。

 ECで購入手続きを行うと、希望販売店にリードが自動配信される。商談、契約、納車までを極力短時間で進められる仕組みである。楽天市場はECサイトの老舗として知られる。ここで培われたオンライン利便性と、全国のBYD正規販売店による対面サポートが両立する点が魅力である。実店舗依存型だった自動車販売が、生活インフラ型ECモールに接続されるのは、自動車販売構造における地殻変動といえる。販売チャンネルの追加だけではなく、「自動車をどこで売るか」という前提の転換である。

 消費者の購買行動は、店舗中心からモバイル中心へ変化している。総務省の調査でも、インターネット通販の利用率は70%を超える。楽天市場は今や幅広い商品を扱い、競合ECも増えている。家電だけでなく、住宅や保険といった高関与商材のEC化も進む。自動車も例外ではない。すでにネット経由での自動車購入手段が存在し、中古車市場も活発化している。車の検索から

・商談
・契約
・納車

までのプロセスは、時間と費用の両面で効率化される。

 こうした状況でBYDの狙いは、楽天エコシステムの消費動線に自社を組み込むことだ。2022年5月、神戸市のインターネット調査では、EV普及に必要なこととして有効回答者3793人の約20%が「電気自動車のことを知る機会」と回答した。筆者(北條慶太、交通経済ライター)の取材でも、

「EVに関心はあるが、知る機会や接触機会がない」

という声が多い。日本市場でのEV普及率は3%に満たない。これを生活圏での体験不足と定義することが重要である。BYDはインターネットを通じた接触密度向上で、この壁を突破しようとしている。

全てのコメントを見る