中古テスラは「二束三文」って本当? バッテリー不透明性と「売って終わり」政策が奪う国益とは

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テスラ・モデル3をはじめとする中古EVは、バッテリー劣化の不透明性や制度上の二次流通不備で価格が低迷している。国内では中古EVの8割超が輸出され、資源と市場価値の損失を招く現状を、技術進化や米国市場の成熟事例を踏まえつつ分析する。

筆者への反対意見

2025年10月24日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2025年10月24日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 楽観的な見方も存在する。中心的な主張は、技術進化がEVの残価を押し上げるという点だ。

 まずバッテリーの進化である。近年のリチウムイオン電池は劣化が緩やかで、10年・10万km走行後でも実用性能を維持する例が増えている。各メーカーは8年・16万kmなどの長期保証を整備し、購入者の心理的不安は徐々に和らいでいる。この保証制度は、中古購入者にとっても価値を安定させる要素となっている。

 次に中古EV市場の成熟である。米国では中古EV販売が急速に拡大しており、2025年上半期は前年比で二桁の伸びを記録した。平均取引価格もガソリン車とほぼ同水準まで下がり、

「中古で十分なEV」

という購入層が形成されつつある。この流れは、消費者の価格感覚や購入意欲の変化を反映しており、市場が成熟すれば国内にも影響を与える可能性がある。

 さらにテスラブランドの再評価も見逃せない。OTAによって中古車でもソフトウェアを最新化できるため、古さを感じにくい。海外ではテスラ中古車が短期間で売れるケースも多く、残価の安定性が評価される事例もある。こうした技術と市場双方の変化から、日本のEV市場もいずれ追いつく可能性があるとの見方には一定の説得力がある。

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