都営大江戸線4km延伸は「誰得」なのか? バス限界&人口減少を無視? “黒字化40年”試算を考える
約1600億円を投じる大江戸線延伸計画が動き出した。だが「鉄道空白解消」の名目だけでは語れない。人口減少、需要変動、バス再編――事業採算と生活価値の両面から、都の判断が試される局面にある。
周辺交通への影響
大江戸線の延伸にともない、バス路線の再編は避けられない。
練馬区北西部では、大江戸線のみで移動が完結する区間が生まれる可能性がある。ドライバー不足が続くバス業界にとって、停留所数が40を超えるような長距離路線は維持が難しくなる。西武バスの「吉60」や「荻15」のような系統は、見直しの対象になるだろう。
今後は、大江戸線と西武池袋線を中心に、
「鉄道へアクセスしやすい交通網」
に再構築することが前提となる。かつての埼玉高速鉄道のように、鉄道よりバスのほうが利便性が高い区間も存在したが、現在のバス運行を取り巻く状況は当時とは異なる。練馬区が中心となり、西武バスや国際興業バスと運行調整を進める必要がある。部分的な補完ではなく、地域全体の交通設計そのものを再定義する段階に来ている。
求められるのは、バス・自転車・徒歩圏交通を重層的に組み合わせたアクセスの再構築である。人口減少が続くなか、鉄道だけを都市構造の中心に据える発想はもはや前提として成立しない。この点を踏まえたうえで、延伸計画を議論すべきだ。