「現場は疲弊」「廃線も視野」 ローカル鉄道を揺さぶる“脱炭素”というジレンマ! 「非電化区間」に迫るGX投資の現実とは
地方鉄道のCO2排出は全体の約2%にすぎないが、非電化区間での化石燃料依存や老朽車両の更新費用は1両2億円前後に達する。GX投資の負担と技術革新のジレンマが、地方公共交通の持続可能性と社会的価値の再定義を迫る。
ハイブリッド導入の制度設計

気動車のGXを進めるには、鉄道会社だけでなく、車両メーカー主導の開発も必要である。日立製作所は高効率モーターや次世代リチウムイオン電池パックの開発を進めている。英国ではバッテリーハイブリッド車両が導入されており、パンタグラフ、バッテリー、ディーゼル発電機の電力を組み合わせて走行する。
ハイブリッド車両は1両単位で導入できることが望ましい。好例がJR東日本のHB-E220形である。設計を共通化することで、各地でハイブリッド気動車を導入しやすくすることも重要だ。国土交通省が検討する「鉄道GX支援スキーム」では、中小私鉄向けの設備投資助成も議題に上がっている。
JR九州のBEC819系電車やEV-E801系電車など、蓄電池電車の技術も波及させる必要がある。技術開発を進めると同時に、地域モビリティの制度設計も検討しなければならない。「路線維持」よりも
「地域モビリティ全体の最適化」
を軸とした政策転換、地域交通再構築事業との連携も求められる。技術と制度を組み合わせ、地域モビリティを最適化することが重要だ。
鉄道GXによる技術革新は、地方鉄道の新たな突破口となりうる。ハイブリッド車両の導入は地方での再エネ活用にもつながる。鉄道車両メーカーにとっては標準化の契機となり、海外展開の足掛かりにもなる。自治体にとっては
「地域モビリティ維持のためのGX投資」
という新しい文脈が生まれる。こうした試みは、地方鉄道の「社会的価値」を再定義する契機ともなる。