「民営化」至上主義の再考を 荒川線・あらかわ遊園が教えてくれる地域活性化のヒント

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東京都荒川区の「あらかわ遊園」がリニューアルオープン。同園はこれまで、都電荒川線との相乗効果により来街者が増えてきた。

都電荒川線は「園外アトラクション」?

バラが植えられた荒川車庫前―荒川遊園地前を走る都電(画像:小川裕夫)
バラが植えられた荒川車庫前―荒川遊園地前を走る都電(画像:小川裕夫)

 実際、あらかわ遊園に足を運ぶ多くの家族連れは都電荒川線を利用し、子どもたちも都電に乗車した瞬間からあらかわ遊園の世界に没入する。言うならば、都電荒川線はあらかわ遊園の

「園外アトラクション」

と言っていいかもしれない。

 運行主体は東京都だが、沿線の環境づくりは区が積極的に関わっている。都電荒川線は、西から

・新宿区
・豊島区
・北区
・荒川区

の4区を走るが、荒川区は官民共同で都電沿いにバラを植栽する取り組みを続けてきた。

 バラを植栽する取り組みは30年以上もの歴史があり、荒川区もその発端を明確に把握していないが、いまやバラが咲き誇る風景は都電荒川線に欠かせないものになった。

 誰が、何をきっかけで始まったのか正式な記録が残っていないものの、荒川区は区民とともに都電荒川線の沿線にバラを植え続けてきた。それは、歳月とともにバラ名所として知られるようになる。

沿線のバラと盗掘

色とりどりのバラが咲く荒川車庫前―小台間を走る都電(画像:小川裕夫)
色とりどりのバラが咲く荒川車庫前―小台間を走る都電(画像:小川裕夫)

 当時、東京近郊にも千葉県八千代市の京成バラ園や神奈川県川崎市に所在する向ヶ丘遊園のばら苑(現・生田緑地ばら苑)など、バラを鑑賞できるスポットはあった。これらのバラ園と都電荒川線のバラの大きな違いは、バラ園は面でバラが植えられているのに対して都電荒川線は線で植えられている点にある。

 線で植えられているバラは珍しい。それが多くの来街者を呼び込む要因のひとつとなり、都電荒川線との相乗効果もあってバラ鑑賞と都電荒川線を目的にする来街者が増えていった。来街者が増えることは荒川区にとってうれしい話だが、他方で来街者の増加は困り事も発生した。それが、バラの盗掘被害だった。

 事業者に管理されたバラ園なら、来園者がバラを盗掘するといった事態は起きにくい。しかし、線路沿いに咲いているバラは常に管理者を配置するわけにはいかず、管理の目が行き届きにくい。隙を突かれて盗掘が起きるわけだが、荒川区は盗掘された箇所を穴埋めするようにバラを植え続けた。

 荒川区は、バラの再植栽でミスを犯す。盗掘されたバラの品種や本数を記録していなかったこともあり、再植に別品種のバラを植えてしまったのだ。このミスにより、多品種のバラが混在して咲く事態が発生した。

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