なぜ「なめ猫免許証」は1200万枚も売れたのか?――権威を遊びに変え、若者心理を掌握した社会現象を再考する

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1981年、免許証を模したカードが1200万枚売れ、関連市場は推計1000億円に達した――学ラン姿の子猫が社会現象となった「なめ猫」ブームだ。暴走族を戯画化しつつ、移動の象徴を遊びへ転換した仕掛けは、制度と文化の摩擦を映し出し、モビリティが単なる交通機能から社会的記号へ変わる潮流を先取りしていた。

制度と遊びが交差するモビリティ論

 40年余を経た今、「なめ猫」が投げかける示唆は何だろうか。

 まず、移動手段は交通機能から社会的な記号へと変わり続けている。1980年代の「なめ猫」免許証がそうであったように、現在の電気自動車(EV)やカーシェアリングも環境意識やライフスタイルを映すシンボルとして受け取られている。

 制度と文化のずれも無視できない。1980年代の「なめ猫」免許証は公的な権威を軽やかにやゆする遊びだった。今のライドシェアや自動運転車も、規制と市場の食い違いが摩擦を生んでいる。過去から学ぶべきは、制度側と文化側を断絶させず、柔軟に調整できる仕組みを築く必要があるという点だ。

 さらに、モビリティと動物・キャラクター文化の接点は今後一層重要になる。ペット同伴旅行やキャラクターを使った交通サービスはすでに話題だ。鉄道会社がペット専用車両を導入したり、空港がキャラクターと連携した利用者体験を展開したりする例も出てきた。「なめ猫」は、その萌芽を1980年代に先取りして示していた。

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