なぜ現代のクルマは“品格”を捨てたのか──ロボット顔SUVが暴く12歳化社会とターゲット別購買行動
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近年の自動車デザインは「ロボット顔」に象徴される即物的な傾向が強まる。20代~50代の購買層や新興成金層の好みに応じた視覚的インパクト重視は、都市景観や文化的成熟との摩擦を招き、企業は調和と市場多様性を両立させる戦略を迫られている。
米中欧日デザインの特徴比較
一方で、各層に選ばれるメーカー各社には特徴がある。
まず欧州メーカーは、品質と伝統を重視する。洗練されたシンプルさを追求し、機能的な美しさも兼ね備える。特に欧州では環境規制が厳しく、性能とデザインの両立が求められる。代表的なメーカーにはBMW、メルセデス、アウディ、プジョーなどがある。いずれもブランドとして一定の評価を維持している。BMWやアウディではグリル形状が大型化する傾向にあるが、全体のバランスを保ち、洗練されたデザインを維持している。
次に米国メーカーは、米国のアイデンティティを反映し、力強くアグレッシブなスタイルを特徴とする。SUVやピックアップトラックが人気で、デザインも大型で強靭さを強調する。フォード、シボレー、ジープなどが代表的で、アウトドアのイメージが先行する。
中国メーカーは、新興市場を中心に視覚的なインパクトを重視するデザインを採用する。成長中の中間層や新興富裕層を意識し、豪華で派手な外観が目立つ。BYD、NIO、Xpengなどが代表格で、LEDライトやメッキ装飾を駆使し、街中での視認性を高めている。
最後に日本メーカーは、伝統的に実用性と調和を重視してきた。近年はSUVや高級車でアグレッシブなデザインも取り入れ始めている。ただし各社のデザイン政策は一様ではない。トヨタはあえてデザインを統一せず、市場が求める視点を重視する。ホンダは「人間中心」の思想を一貫して守り、ユーザー体験(UX)を本質とする。「どう使うか」「どう感じるか」を重視する設計だ。マツダは「魂動デザイン」に基づき、ドライバーと車の関係をエモーショナルに描く。生命感を形にすることを追求している。