なぜ現代のクルマは“品格”を捨てたのか──ロボット顔SUVが暴く12歳化社会とターゲット別購買行動

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近年の自動車デザインは「ロボット顔」に象徴される即物的な傾向が強まる。20代~50代の購買層や新興成金層の好みに応じた視覚的インパクト重視は、都市景観や文化的成熟との摩擦を招き、企業は調和と市場多様性を両立させる戦略を迫られている。

購入層別自動車市場の構造

現保有車の購入価格(2023年度乗用車市場動向調査)(画像:日本自動車工業会)
現保有車の購入価格(2023年度乗用車市場動向調査)(画像:日本自動車工業会)

 2024年の年代別の平均年収は、20代が360万円、30代が451万円、40代が519万円、50代以上が607万円だった。2023年との比較では、20代が8万円増、30代が4万円増、40代が8万円増となった。一方、50代以上は前年と変化がなかった。

 大衆層の平均年収は500万円前後と想定される。この層は万人受けする無難で普遍的なデザインを重視する。価格帯に制約があるため、機能性や経済性の優先度が高いのも特徴だ。トヨタ・カローラやホンダ・フィットといったコンパクトカーやセダンを好む。デザインは過度な装飾を避け、

・安心感
・信頼感

があることが重要視される。国内販売の大部分を占め、購買層全体の約4割に及ぶ。購入価格は300万円までが最も多い。購入にあたっては慎重で堅実な傾向があり、メーカーは攻めたデザインより無難さを重視する。

 成金層(新興富裕層)は自己顕示欲が強く、視覚的な派手さやインパクト、威圧感を求める傾向がある。購入動機には

・ブランド力
・他人より目立つこと

が強く影響する。例えば、トヨタ・アルファードやレクサス、高級ブランドのスポーツタイプ多目的車(SUV)などが好まれる。デザインも大きなグリルや鋭いライン、多様な装飾といった特徴を持つ。近年、富裕層の急拡大にともない、この層をターゲットにした市場は成長基調にある。メーカー各社にとって重要視するセグメントのひとつである。

 富裕層(伝統的な高所得層)は審美眼が非常に発達していることが特徴だ。伝統的な高級感や洗練さを重視し、流行よりも

「普遍的な美」

を優先する。購入動機として重要視するのは品質や歴史的価値、ブランドの伝統性である。メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ベントレー、フェラーリなどの伝統ある高級車が特に好まれる。デザインは控えめでありながら品格を醸し出し、時代を超えた価値観を表現するモデルが多い。インテリアや素材感にも強いこだわりが見られる。世界的には高齢化により縮小傾向にある層だが、車両単価が高いため経済的影響は依然として大きい。

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