なぜ現代のクルマは“品格”を捨てたのか──ロボット顔SUVが暴く12歳化社会とターゲット別購買行動

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近年の自動車デザインは「ロボット顔」に象徴される即物的な傾向が強まる。20代~50代の購買層や新興成金層の好みに応じた視覚的インパクト重視は、都市景観や文化的成熟との摩擦を招き、企業は調和と市場多様性を両立させる戦略を迫られている。

購入層別デザイン評価の実態

山口周氏の新著『いまこそ、本物のサステナビリティ経営の話をしよう』(画像:講談社)
山口周氏の新著『いまこそ、本物のサステナビリティ経営の話をしよう』(画像:講談社)

 山口氏の音声配信で触れられていたように、「ロボット顔」的な自動車デザインが注目されている。

・大型グリル
・鋭角なライト
・立体的な造形

が組み合わされ、アニメやSF映画に登場するロボットを思わせる印象を与える。こうしたわかりやすい「かっこよさ」が求められ、強い視覚的インパクトが近年ますます重視されている。

「ロボット顔」は威圧的で街並みにそぐわないといった批判もある。しかし販売は意外にも好調なモデルも多い。この乖離は、デザインの評価基準が

「購入層によって異なる」

ためだ。市場特性を具体的に切り分け、分析する必要がある。

 先日の筆者の記事に寄せられたコメントでは、トヨタのアルファードやヴェルファイアに関する内容が目立った。新興成金層が好む威圧的なデザインの代表格として挙げるコメントが多かった。こうした批評や是非の議論がある一方、

「市場での評価には必ずしも反映されていない」

実態がある。2025年上半期の販売台数では、アルファードが4万4735台でランキング7位、ヴェルファイアは15位と、いずれも好調だ。

 自動車は移動手段であると同時に、所有者の価値観やライフスタイルを映し出す。購入層ごとに求めるデザインや機能は異なるため、一概に良し悪しを判断することは難しい。各購入層に切り分け、それぞれの特徴や購買動機を整理して論じることが重要だ。

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