陸の孤島「足立区」を変えた日暮里・舎人ライナー! 通勤時間10分短縮・定期代6000円減が誘発した人口流入と経済再編

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都市の周縁だった足立区北部が、ライナー開業を契機に激変を遂げた。ピ-ク混雑率180%超という都心並の需要を集め、通勤時間短縮と月額約6000円の定期代節減を実現。交通インフラが都市構造の再構築を促し、人口流入と商業再編を連鎖的に誘導した。日暮里・舎人ライナーは、足立区を単なる郊外から新たな都市経済圏へと転換させた重要な一手である。

開業延期の難工事と再起

日暮里・舎人ライナー(画像:写真AC)
日暮里・舎人ライナー(画像:写真AC)

 日暮里・舎人ライナーは早期の完成が期待されていた。しかし、東京都の財政難により、運輸省(現・国土交通省)の認可は1995(平成7)年まで得られなかった。認可後に工事が始まったが、順調とは言えなかった。

 特に熊野前~扇大橋間の工事は難航した。この区間は隅田川と荒川をまたぎ、扇大橋を横に見ながら首都高速中央環状線を立体交差で越える難工事だった。これが原因で、当初の1999年開業予定は2008年にまで延期された。乗車時間にして約3分の区間であるが、この難工事には多くの技術者の苦労が詰まっている。鉄道ファン以外でも、その背景を知れば感慨深いものがあるだろう。

 こうして2008年3月30日、日暮里・舎人ライナーは開業した。足立区の風景は一変した。交通過疎地とされていた低層住宅地は、マンションや大型商業施設が並ぶ活気ある街へと変貌を遂げた。

 交通ルートも大きく変わった。舎人駅近くに住む会社員は以前、日比谷の勤務先へ通うのにバスで東武伊勢崎線の竹ノ塚駅へ移動し、同線に乗り換え、北千住駅でメトロ千代田線に乗り換えていた。所要時間は約50分に及んだ。ライナー開通後は移動時間が40分に短縮。通勤定期代も約6000円安くなったという(『朝日新聞』2008年3月27日付け)。

 周辺のバス網も再編された。東武バスと国際興業は、草加市や川口市を結ぶ路線を最北端の見沼代親水公園駅まで延伸し、新たな通勤・通学ルートを整備した。このように、ライナー開業は地域の交通利便性と街の活性化に大きな影響を与えた。

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