自動車保険料「年1改定」が崩壊? 東京海上“10月値上げ”が突きつける制度の限界、、家計をさらに直撃する?

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自動車保険の“年1改定”が変わるかもしれない。東京海上は2025年10月、平均5%以上の異例の前倒し値上げを決行。背景には、修理費の高騰や収支の悪化など、保険制度の根幹を揺るがす構造的な危機がある。いま、制度再編のうねりが始まっている。

先進装備化が生む修理高騰

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 東京海上日動火災保険は、2025年10月から自動車保険の料金を平均で5%以上上げる。普通、保険料の変更は毎年1月にそろって行うのが業界の決まりごとである。今回のように時期を早めて値上げするのは、ただの例外ではない。保険のしくみそのものにあるお金の流れのゆがみと、保険業界がこのまま続けられるのかという問題をはっきりさせた動きでもある。

 損害保険の会社では、保険料の見直しを1月にまとめて行うことが多い。全社が同じタイミングで動けば、代理店の仕事もやりやすくなり、お客への説明にも手間がかからないからである。

 しかし、東京海上はこのやり方から抜け出す決断をした。その理由は、会社の収支のバランスが急に悪くなっていることへの強い危機感にある。例えば、東京海上の2025年3月期の自動車保険のもうけは、前の年より18%も減って、659億円になった。損害保険料率算出機構によると、2023年度の自動車保険の支払い額は2兆610億円で、前年より8%増えている(『日本経済新聞』2025年6月25日付け)。

 このまま1月まで待てば、会社のしくみはさらに弱くなるおそれがある。そのため、今の状況にすぐ対応し、早めに保険料を上げることにした。これは単に時期を早めただけでなく、業界の決まりそのものに対する挑戦でもある。

 今回の値上げの最大の理由は、

「自動車の修理費」

が急に高くなっていることだ。最近の車には、ぶつからないようにするブレーキや、車線を外れたときに教えてくれる警報、ミリ波レーダーなどの先進的な安全装置が付いている。こうした機能をもつ部品の値段は、以前の2倍以上になっている。

 例えば、昔ならバンパーの修理に5万円くらいかかっていたが、新しいタイプの車では20万円を超えることもある。東京海上は2025年7月から、修理を行う整備業者に払う金額を約10%上げると決めた。工場の人件費や設備投資、人材を集めるために必要なお金を考えてのことだが、これが保険会社の支払いの増加にもつながっている。

 車の安全機能が進んで事故の回数が減っても、ひとたび事故が起きれば、修理のための費用は大きくふくらむ。このような「安全がかえって高くつく」という矛盾したしくみを考えに入れなければ、保険会社の経営はうまくいかなくなる。

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