新幹線のフリーWi-Fiはなぜ“激遅”でも残るのか? 地下鉄・コンビニは撤退も、5G全盛でも消えない理由とは
コロナ禍で消えた通信需要

こうした事情もあり、交通事業者の間でフリーWi-Fiサービスの終了が相次いでいる。ここ数年では、東京メトロ、京急、つくばエクスプレス、小田急などがサービス提供を打ち切った。当媒体は2023年12月1日に「駅や電車内の「無料Wi-Fi」が徐々に姿を消しているワケ」(木村義孝氏執筆)という記事を配信したが、その後も公共交通事業を含めた各業種でサービス終了の動きが広がっている。
そんななか、新幹線車内のWi-Fiサービス『Shinkansen Free Wi-Fi』や『JR-EAST FREE Wi-Fi』は現在も提供されている。しかし、このサービスも「風前の灯火」になりつつある可能性が高い。
2025年6月16日、プレジデントオンラインは「まともな人なら「新幹線の激遅フリーWi-Fi」は使わない…車両内でアクセスしてはいけない「三大サイト」」という記事を配信した。執筆者は成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏だ。
「フリーWi-Fiが続々と整備されていたのは、2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、訪日外国人観光客向けに進められていた側面がある。ところが東京オリンピックはコロナ禍の影響で約1年延期したうえ、無観客開催となった。各社にとって、想定していた需要が消えたこと、コロナ禍で事業へのダメージが大きかったことで、フリーWi-Fiにコストを掛け続ける余裕がなくなり、終了につながったのだろう。同時に、都市圏で急速に進んだ5Gの普及により、フリーWi-Fiの必要性が下がったことも後押ししたと考えられる」(同)
高橋氏の論調には筆者(澤田真一、ライター)も概ね賛成だ。さらに付け加えると、現在は通信会社が「ギガ使い放題」プランを多数提供し、通信量を気にせずスマホを利用できる環境が整っている。2010年代の4G普及期には無制限プランは珍しく、月20GBや30GBの上限を超えると通信速度が大幅に低下し、実用に耐えなかった。だからこそ、一般市民の間でもフリーWi-Fiの需要は非常に高かったのである。