高田馬場駅前はなぜ「不法占拠」されたのか? 西武鉄道が50年以上「黙認」――そんな土地が排除される令和現実、違法性を超えた社会的実態とは

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高田馬場駅前で「不法占拠」とされた店舗群が排除された。背景には、地価49.4%上昇や再開発計画、鉄道会社の資産戦略転換があると考えられる。だが、都市の隙間に宿った零細商業と市民の支持は、単なる違法性を超えた社会的実態を築いていた。

固定資産税と黙認構造

地価上昇のイメージ(画像:写真AC)
地価上昇のイメージ(画像:写真AC)

 さらに状況を複雑にしていたのは、一部の建物に登記がなされ、固定資産税も支払われていた可能性が高い点である。固定資産税とは、土地や建物、償却資産などの固定資産を所有している者に対して課される地方税のひとつである。毎年1月1日時点の所有者に対して課税され、課税額は資産の評価額に基づいて算出される。つまり、土地の占拠自体は不法でも、

「税務上は行政に認知された存在」

だった可能性がある。このことが問題の先送りを招き、黙認を正当化する空気を強めていた。このグレーな状態に終止符を打ったのが、

・地価上昇
・再開発構想

だ。高田馬場の土地価格は、2022年の調査で過去10年間に49.4%上昇している。こうしたなか、新宿区は2018年に「高田馬場駅周辺地区まちづくり構想案」を策定し、2022年には「高田馬場駅周辺まちづくり方針」を策定。大規模な再開発を計画している。それに先立ち、周辺ではビルの建て替えも進んだ。かつての学生街の泥臭い雰囲気は薄れ、21世紀型の駅前へと変容しつつある。

 加えて、鉄道会社の経営方針の変化も黙認を許さなくなった。現在、多くの鉄道会社と同様に、西武グループも保有不動産の有効活用を経営の柱としている。

 こうした状況下で、賃料ゼロの不法店舗はもはや見逃せない存在となった。地価の高騰と不動産戦略の明確化により、法の狭間にあった占拠状態も

「資産価値を毀損する非効率な利用」

として再定義される。不法は単なる法令違反にとどまらず、経済的合理性を欠く状態と捉えられている。

 狭く不整形な土地が即収益を生むとは限らない。それでも現代では、土地を眠らせること自体が経営上のマイナスと見なされる時代となった。

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