「インバウンドに入国税3万円」は名案?愚策? 京都市民7割超が困惑「オーバーツーリズム」の現実、地域経済への影響を考える
日本の課税水準の国際比較

インバウンド(訪日外国人客)の急増により、各地でオーバーツーリズム(観光公害)が問題視されている。これに対応するため、さまざまな対策案が登場している。
最近、X(旧ツイッター)上で注目を集めたのが
「英国並みに入国税3万円程度をとるべき」
とする経済評論家の提言だ。入国税とは、ある国に入国する外国人に対して課される税金のことを指す。観光税や渡航認証料、ビザ取得費用、空港税などの形式をとることが多く、課税対象や徴収方法は国によって異なる。
この発言では、旅行者数を年間3000万人の「キャップ制(ある対象の数や量に上限(キャップ)を設けて制限する制度)」にすべきという主張も添えられていた。観光地の過密を緩和する狙いがある。また、インバウンド政策は人数ではなく「消費額」を目標にすべきという意見も提示された。あわせて、観光需要が落ち着けば外国人ドライバーの大量受け入れも不要になると指摘していた。
ただし、提言の前提には誤解もある。英国の入国税は実際には3万円ではない。ETA(電子渡航認証)の取得費用は約16ポンド(約3100円)にすぎない。加えて空港税があるが、これは国籍に関係なく航空券代金に上乗せされて徴収される。料金は移動距離や座席クラスによって変動する。
一方で、実際に高額な入国税を課している国も存在する。例えばブータンでは、旅行者に対し一泊あたり200ドルの観光税を課している。ほかにも、エジプトは約3750円、オーストラリアは約7000円を徴収しており、日本の国際観光旅客税(1000円)よりは高い水準だ。つまり、日本のインバウンド向けの課税額は
「国際的に見て低い部類」
に入る。高額な入国税の提案が注目を集める背景には、観光政策の再設計が社会的に求められつつあるという現実がある。
では、入国税3万円、3000万人キャップ制という提言は次代の観光戦略を模索する上で現実的な選択肢となり得るのか、それとも荒唐無稽な思いつきなのか――。政策議論の土台として、今後の展開が注目される。