「インバウンドに入国税3万円」は名案?愚策? 京都市民7割超が困惑「オーバーツーリズム」の現実、地域経済への影響を考える
出国日本人減が招く観光依存の歪み

近年、インバウンドの急増にともなうトラブルや迷惑行為が、日常的に語られるようになっている。では実際、どれほどの規模なのか。統計データをもとに、その動向を概観したい。注目すべきは、インバウンドの増加と、日本人の「海外離れ」という対照的な現象である。
インバウンドは2013(平成25)年に初めて1000万人を突破。年間1036万3904人を記録した。その後コロナ禍で激減したものの、2023年には2506万6350人まで回復している。
一方、日本人の出国数は1990年代以降、年間1000万人台で推移してきた。だが、2016年には初めてインバウンドの数が出国日本人を上回った(インバウンド2403万9700人、出国日本人数1711万6420人)。
コロナ以降は円安や物価高も重なり、日本人の海外旅行は大きく減少した。いまや、日本人にとってもっとも身近な外国人は、海外で出会う相手ではなく、
「国内で日常的に接するインバウンド」
に変わりつつある。こうした変化のなかで、公共交通の混雑やマナー違反といったインバウンド由来の問題が地域社会で顕在化している。ただし、こうした影響が全国的に網羅され、統計化されているわけではない。現状では、自治体の個別調査や住民の声を通じて断片的に可視化されているにすぎない。
そんななか、京都市が実施する「京都観光に関する市民意識調査」は、現地住民の実感を捉えた信頼性の高い資料といえる。最新の2024年度版では、次のような結果が出ている。
●路線バスや地下鉄などの公共交通機関が混雑して迷惑した
・67.0%(「とても当てはまる」37.9% + 「当てはまる」29.1%)
●道路が渋滞して迷惑した
・60.3%(「とても当てはまる」33.9% + 「当てはまる」26.4%)
●観光客のマナー違反(ごみのポイ捨て、食べ歩きなど)によって迷惑する人がいる
・70.2%(「とても当てはまる」37.3% + 「当てはまる」32.9%)
これらの数値が示すのは、いわゆるオーバーツーリズムが一部の苦情にとどまらず、生活の質を左右する社会的負担となっているという事実である。