独裁者VSサラリーマン社長――自動車会社に「民主主義」は必要か? トヨタと日産の「決定速度」が分けた明暗、海外Z世代52%が「強リーダー」を望む時代とは
- キーワード :
- 自動車
若年層の52%が「強いリーダー」を求める英国世論は、企業統治にも波及しつつある。EVシフトで揺れる自動車業界では、トヨタやBYDにみられるトップ主導型と、日産やVWの合議制との間で、成長力に最大6.4倍の差が顕在化。経営構造は今、再設計を迫られている。
停滞招く「無難経営」の限界

日本企業では、社内昇進を前提とするサラリーマン社長が主流となっている。これは、コンプライアンスやガバナンスの強化にともなう企業統治の構造変化の帰結ともいえる。
サラリーマン社長は、いわば「安全運転型」の経営を志向する。リスクを避け、無難な選択を重ねる傾向が強い。長期的には組織の安定を担保できる一方で、変化への対応力や外的圧力への耐性に乏しい。結果として、大胆な成長戦略を描けず、徐々に競争力を失うケースも少なくない。
その一方で、独裁的なリーダーによる企業統治が否定一辺倒で語られることには、再考の余地がある。たとえば、ゴーン氏の強いリーダーシップは、経営危機にあった日産を立て直す推進力となった事実は否めない。
権限の集中が即「独裁」であるとは限らない。むしろ重要なのは、それを制御できる内部統治の仕組みが存在するかどうかだ。Z世代が強いリーダーを求める背景には、不安や不信がある。
・政治不信
・社会の分断
・将来への閉塞感
そうした感情が、強いリーダーへの幻想を生んでいる。
企業においても傾向は同じだ。Z世代は「いい切れる」トップに魅力を感じる。彼らのロールモデルは、
・トランプ氏
・マスク氏
・中国企業の創業経営者たち
である。
ただし、強いリーダーシップには危うさもともなう。変化を起こしてくれそうといった期待が先行し、現実とのギャップが生まれることもある。行き過ぎれば、組織の硬直化や不正の温床にもなり得る。強さは、制御されてこそ価値を持つ。