独裁者VSサラリーマン社長――自動車会社に「民主主義」は必要か? トヨタと日産の「決定速度」が分けた明暗、海外Z世代52%が「強リーダー」を望む時代とは

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若年層の52%が「強いリーダー」を求める英国世論は、企業統治にも波及しつつある。EVシフトで揺れる自動車業界では、トヨタやBYDにみられるトップ主導型と、日産やVWの合議制との間で、成長力に最大6.4倍の差が顕在化。経営構造は今、再設計を迫られている。

意思決定速度が握る成長の鍵

日産自動車のロゴマーク(画像:時事)
日産自動車のロゴマーク(画像:時事)

 自動車産業は、生産体制の構築に巨額の設備投資を要し、開発サイクルも長期にわたる。そのため、経営トップの決断力が企業の方向性を大きく左右する。

「100年に一度の変革期」とされる今、自動車業界では電気自動車(EV)シフトが緩やかに進行している。ソフトウェア開発の強化やサプライチェーンの再構築など、迅速な判断が不可欠な局面が増えている。

 一方で、社内外の調整に追われる調整型のリーダー、いわゆる

「サラリーマン社長」

には限界があるかもしれない。慎重すぎる意思決定の積み重ねが、経営リスクを増幅させる可能性もある。

 トップダウン体制の象徴がトヨタだ。2019年に約50人いた役員陣を大幅に削減し、2020年7月には豊田章男社長(当時)を含む執行役員を23人から9人に絞った。現在もこの体制は維持され、階層の少ない意思決定プロセスが迅速な経営判断を可能にしている。

 その象徴的な成果が、2021年に発表されたEV戦略である。その後、販売目標の見直しが繰り返された点も、柔軟な方向転換が実際に機能している証左といえる。

 対照的なのが日産だ。2018年11月、カルロス・ゴーン会長(当時)が金融商品取引法違反で逮捕されて以降、強いリーダーシップに基づくトップダウン経営は影を潜めた。

 その後は、役員による合議制が経営の中心となった。この体制は今日まで堅持されているが、柔軟性を欠き、EV戦略や新興市場での展開で他社に後れを取った。結果的に、合議制の弱点だけが表面化し、トヨタとの差は拡大する一方となっている。

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