鉄道クラウドファンディングは「美談」に過ぎない?──市民の善意が覆い隠す、公的責任の「静かな敗北宣言」とは【リレー連載】ビーフという作法(6)
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近年、地方鉄道の保存費用をクラウドファンディングで賄う動きが拡大する一方で、総費用3億円に対し調達は7500万円に留まる事例も。ファン支援は重要だが、公的責任の空洞化や制度的保障の後退を招く危険性もはらみ、持続的な文化財保護の枠組み再構築が急務となっている。
批判点3「感情消費の経済的限界」
杉山氏は、大井川鐵道のSL修復を取り上げ、総費用3億円に対してクラファンの調達額が7500万円にとどまる点を指摘し、「金額が小さい気がする」と書いている。そのうえで、クラファンのさらなる可能性にも期待を示している。
この事例から見えてくるのは、クラファンによる資金調達が、大規模事業においてはあくまで部分的な資金にすぎないという現実である。
一時的な資金確保には成功するかもしれない。しかし、車両の維持・保守や人材育成、安全な運行体制を支える恒久的な財源を、クラファンだけで賄うのはほぼ不可能だ。
「愛で支える」
「ファンの熱意で守る」
といった物語は感動的だが、行政や研究機関が行う文化財保護のような持続性を欠いている。むしろ民間の善意や感動の物語が、本来あるべき文化財保護行政の不備を覆い隠している面もある。
クラファンが成功事例として語られる一方で、行政は本来担うべき公共財への財政的・制度的責任を
「情緒の市場」
に委ねつつある。クラファンの成功は、美談としての側面を強調されるあまり、制度的な責任の空洞化という問題を見えにくくしている。