ディーラーはなぜ「クルマより保険」を売りたがるのか? 「5台売っても意味ない」──顧客を縛る“見えない鎖”の正体とは
クルマ1台の報酬は1万円、保険1件で数万円――。ディーラー営業の世界では、いまや保険が評価と収入を左右する主戦場だ。現場の実体験を通じて、その知られざる構造と営業の葛藤を描き出す。
保険は最強の「囲い込み」ツール

営業マンが保険に力を入れる理由は、報酬やノルマだけではない。保険は顧客を自社に引き留める囲い込みの手段でもある。
いったんディーラーで保険契約を結んでもらえれば、その後の事故対応や車検、点検のタイミングでも自社を頼ってもらえる可能性が高まる。とくに、
「事故の際にすぐ動いてくれた」
「保険の相談に丁寧に乗ってくれた」
といった実体験は、顧客との信頼関係を築くうえで非常に大きな意味を持つ。信頼が深まれば、次の買い替えでも他社へ流れるリスクを抑えられる。さらに、良好な関係が続けば、新たな顧客の紹介にもつながりやすい。
保険は、顧客と営業マンの関係を長期的に維持し、拡大していくための重要な接点だ。いわば、顧客との関係を強固につなぐ“鎖”のような存在である。