広島で話題の「運賃格差」問題──実はインバウンド対策のヒントかもしれない
広島電鉄が2024年7月に導入した新決済サービス「MOBIRY DAYS」は、ICOCA利用者に整理券取得や車内チャージ不可といった不便を強いる一方、宮島線では最大90円の運賃差が生じるなど地域交通の複雑化を浮き彫りにする。約40億円の設備更新費用削減を狙う一方で、多様な利用者ニーズに応えきれず、観光地交通の新たな課題となっている。
整理券復活が招く現場負担

広島のローカル交通決済システム「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」が話題になっている。理由は、ICOCAなどの交通系ICカード利用者が、広島電鉄の一部バス路線で整理券を取らなければならなくなったためだ。これまでのように端末にタッチするだけでは乗車できない。
筆者(山本哲也、交通ライター)も実際に、平日の昼間に広島電鉄バスの郊外路線に乗ってみた。終点の広島バスセンターで下車したのは約10人。そのうちICOCAを使っていたのは、筆者を含めて3人だった。
乗車時に整理券を取り、下車時にはそれを運賃箱に入れる。すると乗務員が、ICOCAの簡易端末に金額を手動で入力する。その後、合図を受けてICカードをタッチすることで支払いが完了した。
この時は乗客が少なく、対応に時間はかからなかった。しかし、朝夕のラッシュ時であれば、乗務員にも乗客にも負担が大きくなるだろう。
そもそも、ICOCA利用者に整理券が必要になったのは、先代のICカード「PASPY」が2025年3月29日でサービスを終了したことが背景にある。PASPYに代わって導入されたのがMOBIRY DAYSだ。