クルマが変わる! 「完全電子化ブレーキ」25年量産化で何が起きる? 安全性、コスト、設計自由度、未来を占う

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ボッシュが開発中の「ブレーキバイワイヤ」は、3300kmに及ぶ走行試験に成功し、軽量化や設計自由度拡大など多くの利点を提供する。2025年には市場投入を予定し、業界の注目を集める一方、安全性や信頼性の確保が最大の課題となっている。

電子制御が拓く次世代制動

ブレーキバイワイヤシステム(画像:ボッシュ)
ブレーキバイワイヤシステム(画像:ボッシュ)

 独ボッシュは、自動車部品をはじめ多岐にわたる製品を手がけるテクノロジー企業である。現在、同社が実用化に向けて開発を進めている技術のひとつが「ブレーキバイワイヤ」だ。2025年1月、ボッシュはこの技術を搭載した試験車による走行試験に成功した。北極圏を含む複数の気候帯で、総走行距離3300kmを問題なく走破している。

 ブレーキバイワイヤとは、自動車のブレーキ操作を完全に電子制御で行う技術である。現在の車両に搭載されているブレーキシステムは、機械式と電子制御式が組み合わされた構造となっている。基本動作は油圧による機械式で制御し、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などの補助機能を電子制御が担っている。

 これに対し、ブレーキバイワイヤではペダルと油圧系統は直接つながっていない。ドライバーがペダルを踏むと電気信号に変換され、それがアクチュエーター(電気信号を物理的な動きに変換する装置)やモーターへ伝達されてブレーキを作動させる。すべての制御が電気信号で完結する点が大きな特徴だ。

 近年、自動車の各種制御系統は次々と電子化されてきた。アクセルやステアリングはすでに「バイワイヤ」化が進んでいるが、ブレーキに関しては安全性の観点から、長らく機械式が採用され続けてきた。車両の停止を担う最重要システムであるがゆえに、高い信頼性が求められるからだ。

 しかし、ブレーキにも次世代化の波が訪れている。ブレーキバイワイヤには、

・軽量化
・応答性の向上
・メンテナンス性の改善

など多くのメリットがある。そうした背景のもと、開発競争は加速している。

 ボッシュは今回の試験で、過酷な環境下におけるシステムの信頼性と実用性を実証した。さらに、同社は2025年秋から市場投入を予定しており、すでに複数の自動車メーカーからの受注も得ている。市販車への採用も、目前に迫っているといえそうだ。

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