「四駆で砂浜はヤバい?」 ビーチ走行がもたらす生態系破壊! ウミガメ圧死の現実、回復には10年以上も…豪研究で明らかに
世界遺産にも登録される美しいビーチが、四輪駆動車による走行で深刻な生態系への影響を受けている。オーストラリアの研究が明らかにしたその損害は、わずか1台の車でも巨大な影響を及ぼすことを示唆している。各州で進む規制強化と、清掃活動の重要性とのジレンマが浮き彫りに。
海岸での車両走行で深刻な自然破壊

タフでパワフルな4WDオフロード車は、道なき道を進む醍醐味がある。海岸の砂浜を走るビジュアルは、広告でもよく見かける。日本では、石川県の能登地方にある羽咋(はくい)市にある「千里浜なぎさドライブウェイ」が人気だ。ここは、日本唯一の砂浜を走れる道路として知られている。
オーストラリアでも、ビーチでオフロード車を走らせることは一般的なレクリエーションだ。西オーストラリア州のケーブルビーチや、クイーンズランド州のフレーザー島など、多くの人々が車で訪れる場所だ。これらのビーチは世界遺産にも登録されている。
ただし、州ごとに法律は異なるが、ビーチへの車両乗り入れには一時許可証が必要な場合が多い。さらに、同時に駐車できる車両の数にも制限がある。
現在、オーストラリアでは車両の乗り入れをさらに制限する動きが出てきている。新たな研究によると、たった1台の車がビーチを走るだけで、海岸の生態系に深刻な影響を与えることがわかってきた。
この研究は、豪サンシャインコースト大学(UniSC)が主導し、2024年11月に「Estuarine, Coastal and Shelf Science」で発表された。研究チームは、20の国際的な研究をメタ分析し、車両による砂浜の生態系へのダメージが非常に大きいことを示した。その影響は多くの生物種に及ぶ。
例えば、オーストラリア東海岸や南海岸には、先住民アボリジニが食べていたピピという二枚貝が生息している。しかし、4WD車が海岸を走ると、砂浜にいるピピやカニなどの無脊椎動物が圧死する危険が高い。