「四駆で砂浜はヤバい?」 ビーチ走行がもたらす生態系破壊! ウミガメ圧死の現実、回復には10年以上も…豪研究で明らかに

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世界遺産にも登録される美しいビーチが、四輪駆動車による走行で深刻な生態系への影響を受けている。オーストラリアの研究が明らかにしたその損害は、わずか1台の車でも巨大な影響を及ぼすことを示唆している。各州で進む規制強化と、清掃活動の重要性とのジレンマが浮き彫りに。

環境保護と観光の狭間

論文「海岸の砂丘植生に対するオフロード車の悪影響は広範囲にわたり、深刻で、長期的である:砂浜と砂丘のシステムに関する世界規模のメタ分析による証拠」(画像:Estuarine, Coastal and Shelf Science)
論文「海岸の砂丘植生に対するオフロード車の悪影響は広範囲にわたり、深刻で、長期的である:砂浜と砂丘のシステムに関する世界規模のメタ分析による証拠」(画像:Estuarine, Coastal and Shelf Science)

 クイーンズランド州の「バンダバーグ4WDクラブ」会長、ブレット・リンチ氏は、同クラブがクガリ島で行う清掃活動において、通常6~8tのゴミを回収しており、そのためには4WD車両が不可欠だと説明している。

 一方、クイーンズランド州のアンドリュー・パウエル環境・観光・科学・イノベーション大臣は、州内の海岸から四輪駆動車を禁止することは一部の人々に受け入れられないだろうと述べ、

「私の仕事は、環境の保全と保護と、人々が外に出て楽しむこととのバランスを確実に取ることです」

とABCニュースで語った。だが、同州北部の都市マッカイでは、2024年9月に地方議会の決議により、ビーチへの自動車アクセスがさらに制限された。ハーバービーチからイーストポイントまでの海岸やビーチでは車両の走行が禁止され、監視カメラが設置され、違反者には774豪ドル(約7万円)の罰金が科せられることになった。マッカイ市のグレッグ・ウィリアムソン市長は、

「長年にわたり、車両は砂丘に重大な損害を与え、沿岸の動植物、カメや海岸鳥の営巣地に影響を与えてきました」

と述べ、「長年にわたる被害が地域の生態系の健全性を脅かしている」と警告している。

 この問題はオーストラリアだけに限らず、美しい海岸を持つ世界中の国々が抱える深刻なリスクである。日本では兵庫県・東播海岸の砂浜回復により、アカウミガメの上陸と産卵が復活した例もある。今後、砂浜での4WD走行の是非について本格的な議論が求められるだろう。

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