岐阜「長良川鉄道」郡上市で一部廃線か? 乗客6割減&輸送密度「200人台」の現実、絶景路線に暗雲! 一部区間の見直し検討入りで考える
岐阜県を走る第三セクター・長良川鉄道で、一部区間の見直し協議が始まった。慢性的な赤字が続いており、沿線5市町の財政負担が重くなっている。このため、郡上市内の区間の存廃が焦点となっている。
老朽化で設備更新、補修費が増大

前身は旧国鉄路線。国鉄時代はさらに延伸し、福井県を走る越美北線と接続させる構想があった。しかし、構想が実現しないまま、国鉄改革で1984(昭和59)年、特定地方交通線に組み入れられる。当時の輸送密度は1392人。廃線か第三セクターでの運行継続かを迫られた結果、地元は第三セクターを選んだ。
特定地方交通線は採算が取れる見込みがないとされた赤字ローカル路線。当初の予測通りとはいえ、長良川鉄道は開業以来、一度も黒字になっていない。2024年度の赤字額は
「4億円」
を大きく上回る見通しだ。しかも、国鉄時代の1934年に全線開通してから90年以上が経ち、設備の老朽化が著しい。近年、設備更新や補修の費用はかさむばかり。費用は毎年度の赤字とともに岐阜県と沿線5市町で補填しているが、山下関市長は3月の市議会で「今後、補助金が減る状況ではない」と述べ、沿線5市町の負担が増大する見込みであることを明らかにした。
乗客減が深刻な郡上市は、約3万6000人の人口が2045年に3万人を割ると国立社会保障・人口問題研究所に推計されている。特に14歳以下は2015年比で45.5%という大きな減少率だ。長良川鉄道の乗客の多くは通学の高校生。子どもの減少はすぐさま乗客減につながる。
郡上市内は長良川鉄道とほぼ並行して国道156号が南北に走っている。長良川鉄道の運行本数は市中心部に当たる郡上八幡駅の平日ダイヤで北濃方面が1時間に1本もない1日11本、美濃太田方面が1日12本しかない。
運行本数の少なさから、市民の約9割が長良川鉄道を利用していない現実がある。郡上市企画課は
「市単独で2023年度に約2億4000万円を支援したが、状況は次第に厳しさを増している」
と対応に苦慮している。