岐阜「長良川鉄道」郡上市で一部廃線か? 乗客6割減&輸送密度「200人台」の現実、絶景路線に暗雲! 一部区間の見直し検討入りで考える
岐阜県を走る第三セクター・長良川鉄道で、一部区間の見直し協議が始まった。慢性的な赤字が続いており、沿線5市町の財政負担が重くなっている。このため、郡上市内の区間の存廃が焦点となっている。
乗客数は1992年の6割減

長良川鉄道は美濃加茂市の美濃太田駅から富加町、関市、美濃市を通って郡上市の北濃駅を結ぶ72.1kmで、路線名は越美南線。全線単線の非電化路線だが、沿線のうち約50kmが長良川沿いを走り、車窓から見える絶景が人気を集めている。1986(昭和61)年の開業以来、岐阜県や郡上市、関市、美濃加茂市などが出資する第三セクター鉄道として運行してきた。
しかし、沿線の6割以上が過疎地域を走るとあって、人口減少に伴う乗客減が深刻さを増している。1992(平成4)年度に年間約180万人を数えた乗客は、2023年度で約76万人(58%減)に落ち込んだ。観光列車や貨客混載事業など多彩な利用促進策で2010年代以降、コロナ禍を除いてほぼ横ばいで推移しているが、2024年度も2023年度から微増にとどまる見込みだ。非公表の輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)について、長良川鉄道は
「ざっと200人台」
と答えた。JRの区間なら、国の再構築協議会に持ち込まれてもおかしくない。特に乗客減が著しいのは沿線の6割強を占める郡上市で、市内23駅のうち、2022年度は母野、上万場など10駅が1日当たり10人に満たない乗降客しかなかった。美濃加茂駅から長良川鉄道に乗車した郡上市の男性(68歳)は
「美濃加茂市や関市はそれなりに乗降客がいるが、そこから先は急激に減る。住民にとってなくてはならない鉄道なのにね」
と残念そうな口ぶりだった。