「赤字ローカル線は廃止すべき」と言う人へ! それなら同時に「固定資産税も全額払え」と主張してもらえませんか?

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地方鉄道の赤字問題が深刻化する中、「赤字なら廃止」との声が高まる。しかし、鉄道は単なる営利企業ではなく、公共インフラとしての重要な役割を果たしている。税制優遇措置や地域経済への貢献を踏まえ、存続の議論は単なる収益性の問題にとどまらず、地域価値創造の視点から再考すべき時期に来ている。

税優遇撤廃で地方鉄道崩壊

ローカル線(画像:写真AC)
ローカル線(画像:写真AC)

 戦後の日本では、公共性の高い事業に対して税制上の特例措置が一貫して実施されてきた。地方税法第349条の3(固定資産税の課税標準等の特例)を見れば、こうした特例措置は鉄道だけでなく、

・放送
・ガス事業
・船舶
・航空機

などに広く適用されており、特例措置が適用される事業は、国がそれらを

「公共性の高い事業」

として認定している証拠といえる。もし鉄道会社が「完全な民間企業」として扱われ、税の優遇措置がなくなった場合、どうなるだろうか。まず、固定資産税の負担は大幅に増加する。現在でも赤字に苦しむローカル線には、さらに重い負担が課され、多くの路線が維持不可能となるだろう。収益性だけを基準に運営するならば、都市部の一部路線を除き、

「地方の鉄道はほぼ消滅する」

可能性すらある。その結果、地域住民は重要な移動手段を失い、経済活動が停滞し、地域の衰退がさらに加速するだろう。

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