ランクル300は「幻のモデル」になるのか? 納期4年超えで受注停止! 3月マイナーチェンジで受注再開なるか

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ランドクルーザー300は単なる移動手段を超え、トヨタの象徴的な存在としてそのブランド価値を確立。しかし、生産の遅延が続けば、供給問題が顧客満足度に影響を与える恐れも。トヨタの今後の戦略が注目される。

ビスポーク戦略の可能性

ランドクルーザー300(画像:トヨタ自動車)
ランドクルーザー300(画像:トヨタ自動車)

 ランドクルーザー300の供給不足が長期化するなか、このまま再開されることなくモデルチェンジに突入するのではないかという懸念が広がっている。一部の報道では、2025年3月にマイナーチェンジが実施され、そのタイミングで受注再開の可能性があるとされている。しかし、トヨタからの公式発表はなく、実際の販売スケジュールは依然として不透明なままだ。

 ただし、トヨタは2025年第2四半期にオーストラリア市場へ改良モデルを投入することを明らかにしており、日本市場への導入も注目される。現状が続けば、300系は歴代モデルと比較して市場にほとんど出回らず、幻のモデルとなる可能性もある。

 仮に次の新型が登場したとしても、同様の納期遅延が発生するリスクは否定できない。ランドクルーザー300の需要は世界的に高まっており、新型の登場によって予約がさらに殺到すれば、現在の状況が繰り返されることは十分に考えられる。その結果、次世代モデルの発表が「新たな供給不足の始まり」となる可能性もある。

 極論ではあるが、供給問題が慢性的に続けば、トヨタがランドクルーザーの生産継続を再考する可能性も否定できない。しかし、世界的な需要の高さやブランドの価値を考えれば、完全なディスコン(生産終了)は現実的ではない。むしろ、トヨタが受注・生産方式の見直しや新たな供給戦略を打ち出す必要がある。

 そのひとつの手段として、ランドクルーザーの二極化戦略が考えられる。通常モデルの納期短縮を優先しつつ、特別仕様のビスポーク・ラインを新設することで、供給負担を分散させる。前者はとにかくランクルが欲しい層に向けて、できる限り短い納期で提供する。一方、後者は世界に一台しかない特別仕様を求める富裕層に向け、カスタムオーダーによる特別仕様車を提供する。

 ビスポーク・モデルを求める層は納期を気にする傾向が低く、むしろ待つ時間を楽しむことが多い。そのため、通常ラインの生産枠を確保しやすくなり、結果として一般ユーザーへの供給安定化が期待できる。また、ビスポーク・モデルは希少性が高いため、投資対象としての価値を持つ可能性もある。オーナーの要望を反映した特別仕様車は、中古市場においてもプレミア価格がつくことが予想される。

 この流れが加速すれば、ランドクルーザーは単なるオフローダーではなく、実用性と投資価値を兼ね備えた特別な存在へと進化する可能性がある。ランドクルーザー300の供給不足は単なる生産能力の問題ではなく、トヨタのブランド戦略や市場の変化を映し出している。このまま本当に幻のモデルとなってしまうのか。

 トヨタがどのような決断を下すのか。その選択が、ランドクルーザーの未来を大きく左右することになる。

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