さよなら再開発? 中野サンプラザ「事業費46%増」、TOCビル「着工延期」 オフィス空室率増加で「負の連鎖」今後どうなる?

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急激な建築コストの上昇とオフィス需要の変化が、全国各地の再開発計画に影響を与えている。目黒区や中野区、品川区の再開発は、資材価格高騰と人手不足により延期や見直しを余儀なくされ、2030年度を目指す札幌延伸や、オフィスビルの空室率増加も経済情勢を反映。再開発の未来には、適応的再利用の新しい視点が求められている。

リモートワークの影響、オフィス市場に余波

リモートワークのイメージ(画像:写真AC)
リモートワークのイメージ(画像:写真AC)

 こうしたコスト増とともに、新型コロナウイルス感染症の流行を契機としたオフィス需要の変化が再開発の足を引っ張っている。

 オフィスビルのテナント仲介を専門とする三鬼商事( 東京都中央区)が毎月公表しているデータを見てみると「東京ビジネス地区」のコロナ前と現在のオフィス需要は次のようになっている。

●2019年1月
・空室率:1.82%
・空室面積:13万6901坪
・平均賃料(坪単価):2万1010円

●2025年1月
・空室率:3.83%
・空室面積:30万7371坪
・平均賃料(坪単価):2万368円

感染拡大期にリモートワークが普及したことで、オフィス需要は大幅に減少した。現在、多くの企業がリモートワークの縮小・見直しを進めているものの、オフィス需要はいまだコロナ前の水準には戻っていない。空室率が5%を超えた感染拡大期の低迷は脱したものの、2025年1月時点の3.83%という空室率はコロナ前の1.78%と比較して依然として高く、厳しい状況が続いている。

 国土交通省の調査によれば、首都圏のテレワークの実施率は2021年には36.2%だったものが、2023年には28.0%まで低下している。とはいえ、2019年の19.1%よりも高い水準のままだ。全就業者のおけるテレワーカーのうち、雇用型(ICT等を活用して、普段出勤して仕事を行う勤務先とは違う場所で仕事をすること、又は勤務先に出勤せず自宅その他の場所で仕事をすること)の割合をみると2019年には14.8%だったものが、2023年には

「24.8%」

となっている。

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