赤字ローカル線「普段乗ってないくせに、存続求めるな」は正しい? 終わりなき地域鉄道のジレンマ、使われぬ線路と消えゆく公共交通とは
地方鉄道の存続を巡る議論が活発化している。利用者減少と経営難が進行する中、43%の人々が「公費投入で維持すべき」と回答。鉄道は単なる移動手段を超え、地域経済の基盤となっている。しかし、その価値を如何に再評価し、持続可能な運営を実現するかが重要な課題となる。
自動車社会の負の側面

「鉄道が不要なら廃止すべき」という論理は、市場原理に基づくものだ。需要がないなら供給をやめるべきだという考え方だ。しかし、鉄道は単なる市場経済の原理だけで評価できるものではない。
自動車を基盤とする社会は、効率的に見えるが、その裏には多くの課題が存在する。公共交通の衰退は、高齢者や障がい者の移動困難を引き起こし、環境負荷の増大を招き、地域の分断を助長することになる。
さらに、鉄道は災害時に代替輸送手段としての重要な役割も果たすことがある。大規模な自然災害の際、道路が寸断される中で鉄道が復旧のカギとなることがある。リスク管理の観点からも、鉄道の存続には一定の価値がある。
では、こうしたジレンマにどのように対処すべきか。ひとつの解決策として、鉄道を単なる移動手段としてではなく、地域の「総合インフラ」として活用する方法がある。例えば、沿線の公共施設や商業施設と連携し、鉄道を利用することで得られるメリットを創出することだ。また、デジタル技術を活用し、オンデマンド型の鉄道運行を導入することで、より柔軟な運行体系を構築できる可能性もある。
さらに、自治体や企業は積極的に鉄道の価値を再評価し、財政的支援や運行形態の見直しを行う必要がある。住民も、鉄道の存続を望むのであれば、定期的に利用する意識を持つことが求められる。
鉄道は単なる移動手段ではなく、地域の文化や歴史、経済活動と密接に結びついた重要な存在だ。「使わないなら不要」という単純な二元論で片付けるのではなく、鉄道の役割をより広い視野で捉え直すことが、持続可能な地域社会の構築に繋がるだろう。