駅前商店街が没落し、私たちは「何」を本当に失ってしまったのか? 利便性の陰で消えた「街の色」を考える
郊外型ショッピングセンターの台頭は利便性向上に寄与する一方、地域の個性や商店街の役割を失わせた。駅前商店街が衰退し、車社会が進行する中で、私たちはどんなものを得て、何を失ったのか。新たな都市のあり方を考える時が来ている。
効率優先で失われた街の個性

郊外型ショッピングセンターの台頭は、経済合理性の観点から見れば、間違った選択ではない。消費者にとっては、利便性が向上し、効率的に買い物ができるという大きなメリットがある。
しかし、「効率」を最優先した結果、私たちは多くのものを失った。
商店街が消え、代わりにどこでも見かける光景が広がることで「街の文脈」「街の色」が失われた。その土地特有の個性や歴史を反映した商店街がなくなり、画一的な都市景観が生まれた。また、店主と客との関係が希薄化し、地域の絆も薄れてしまった。さらに、歩行者中心の都市設計から車を前提とした街づくりへと変わり、高齢者や子どもにとって住みにくい環境が生じた。
これからの都市のあり方を考えるうえで、私たちはこの「喪失」に真摯に向き合わなければならない。商店街が消えたことをただ嘆くのではなく、
「街とは何か」
「移動とは何か」
といった問いを新たな視点で見直す時が来ている。