「陸の孤島」からの脱却!? 和歌山県新宮市は「新宮紀宝道路」開通で“首都”になれるか? 桃鉄の「聖地」を再考する

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地域間の移動がますます重要視されるなか、紀伊半島における高速道路網の整備が進んでいる。この新宮紀宝道路の開通は、地域の交通インフラを強化し、物流や観光、医療分野での効率向上に寄与する。これにより、地域経済の活性化や持続可能な発展が期待されている。高速道路網の整備は、地域の競争力を高め、安全性の向上にもつながる重要な施策だといえる。

「地域の首都」新宮市の役割

新宮市(画像:写真AC)
新宮市(画像:写真AC)

 とりわけ重要なのは、人口減少時代における

「地域の首都」

としての新宮市の役割である。2023年頃から、インターネット上で「地域の首都」という視点が登場した。大都市圏から離れており、人口規模は少ないが、その地域の中心となる都市を指す。現状では過疎地域とされる新宮市も、古くから三重県を含む熊野地方の商圏の中心であり、地域最大のショッピングモール「スーパーセンターオークワ 南紀店」が存在する。

 ここに入居する「無印良品」の店舗面積は和歌山県内最大であり、都市の実力は非常に高いことがわかる。したがって、高速道路網の整備とともに、新宮市を中心とした広域的な経済圏を形成することが極めて重要だ。この地域の拠点都市の形成は、一地方の問題にとどまらない。2082年には日本の人口が半減すると予測されるなか、地域の在り方を根本的に見直す必要がある。

 大都市圏に人口を集中させることが効率的な方法に見えるが、それは非現実的だ。その代わり、新宮市のような中核都市を拠点に、コンパクトながらも高い利便性を持つ地域社会を築いていくことが最適解である。そのための基盤整備である新宮紀宝道路を含む紀伊半島の高速道路網の整備は、欠かせない要素だ。この事例は、一地方のローカルな話題として片付けてはいけない。

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