予測不能なトランプ新政権! バイデン外交との違いが示す米中対立の次なる展開とは

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トランプ新政権の発足により、対中政策や貿易規制が再び注目を集めている。バイデン政権が多国間協調を重視したのに対し、トランプ氏は米国単独のディール外交を展開する可能性が高い。特に3700億ドル相当の関税措置など、過去の大胆な政策が今後どのように進化するかが焦点だ。企業は予測困難な規制の中で、生き残りの戦略が問われる局面に直面している。

予測不能なトランプ流の規制

マルコ・ルビオ上院議員(画像:米合衆国上院)
マルコ・ルビオ上院議員(画像:米合衆国上院)

 一方、政権1期目に見られるように、トランプ新政権の対中貿易規制は適材適所に規制が掛けられているというよりは、貿易赤字を是が非でも是正する、中国に負けない偉大な米国を取り戻すなど自らが重視する大義に基づいて、野心的から規制対象をランダムに選ぶ貿易規制のように感じられる。トランプ新政権では相次いで対中強硬派が起用されているが、バイデン政権以上に予測困難な貿易規制が導入されていく可能性が高く、企業にとっては舵取りが難しい状況が到来することになろう。

 対中貿易規制の手法にも違いがある。バイデン政権は先端半導体分野での規制を強化する一方で、中国・新疆ウイグル自治区における強制労働などの人権問題にも強い懸念を示している。2022年6月にはウイグル強制労働防止法を施行し、ウイグル産製品の米国流入を防ぐために関連する中国企業への規制も強化した。

 このようにバイデン政権の対中貿易規制は、軍事転用防止や人権侵害への対応など、明確で合理的な理由に基づいており、目的達成に必要な範囲に的を絞った規制が行われている。適材適所に規制を導入する傾向があるといえる。

 一方、トランプ新政権の対中貿易規制は、バイデン政権のように合理的な範囲に絞られているわけではない。貿易赤字の是正や「偉大な米国を取り戻す」といった大義のもとで、規制対象が野心的かつランダムに選ばれている印象を受ける。

 さらに、対中強硬派が次々と起用されていることから、バイデン政権以上に予測しづらい規制が導入される可能性が高い。これにより、企業にとっては将来の展開を見据えた対応が一層難しくなるだろう。

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