外出の50%以上に「クルマ」を使うと、生活満足度が低下! 米国調査で明らかになった「クルマ依存社会」の影響とは?

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米国における車社会は、ただの移動手段を超え、文化と生活の一部となっている。しかし、アリゾナ州立大学の調査によると、車依存が生活満足度に負の影響を与えていることが判明。週200マイル以上を車で移動する人々は、生活の質が低下しがちだ。この現状を打破し、交通の選択肢を増やすことが、今後の自動車文化の変革を促すカギとなる。

週200マイル以上走行の幸福度の壁

アリゾナ州の風景(画像:Pexels)
アリゾナ州の風景(画像:Pexels)

 アリゾナ州立大学の研究チームが2024年11月に「Travel Behaviour and Society」で発表した研究では、都市部と郊外に住む米国の成人2155人を対象に調査を行った。

 データを分析した結果、外出の50%以上を車で行っている人は、

「全体的な生活満足度(well-being)が低い」

傾向があることがわかった。生活満足度とは、自分の生活にどれだけ満足しているかを示す指標で、物質的、社会的、精神的な要素を含む主観的な評価だ。生活全般に対する自己評価をもとに、感情的な状態が反映される。生活満足度に関わる主な要素は次のとおりだ。

・経済的安定:安定した収入と生活水準。
・健康:身体的および精神的な健康状態。
・人間関係:家族や友人との絆、社会的つながり。
・自己実現:仕事や個人の目標に対する達成感や充実感。
・生活環境:快適な住環境、安全な地域、公共サービスの充実。

また、週に200マイル(約320km)以上車で移動する人も、移動時間が短い人より生活満足度が低い傾向がある。この結果は、回答者の収入、人種、性別などの要因を調整しても変わらなかった。

 2017年の「National Household Travel Survey」によると、平均的な米国人は1日の移動の87%を自家用車で行い、1週間あたりの平均移動距離は280マイル(約450km)に達している。つまり、多くの人がこの研究で問題視された

・50%以上
・週200マイル以上

を軽く超えている状況だ。一方で、車の移動割合が50%以下、または週200マイル未満の人は、その範囲内では生活満足度が高まる傾向があることもわかっている。

 車依存の社会では、意識的に自転車や徒歩で移動することが逆にストレスや不満を感じる原因になる可能性が高い。車で必要な移動ができる環境は、生活満足度を向上させる要素でもある。ただし、近場の用事まですべて車で済ませてしまうと、健康に悪影響を及ぼし、その結果生活満足度が低下することになる。研究チームは、米国人が健康を犠牲にしてまで頻繁に車を利用するのは、

「他の選択肢がほとんどないから」

と指摘している。そして、

・コンパクトな都市設計や歩きやすい歩道
・自転車レーンなどを整備する「交通のマルチモダリティ(multimodality)」の推進

が必要だと述べている。問題は、車に過度に依存していることにある。車を利用しながらも、他の移動手段とのバランスを見つけることが求められているのだ。

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