出発駅に隠された旅の本当の意味【リレー連載】現代人にとって旅情とはなにか(4)

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旅行の“クライマックス”は出発の瞬間にあり、日常を離れることで得られる解放感は心身に好影響を与えることが最新の研究で明らかに。しかし、過度な“旅行依存症”やエゴイズムには注意が必要だ。キャリーケースを転がしながら歩くその瞬間こそが、現代人の旅情を感じさせる核心なのだ。

旅の手段がもたらす心身効果

旅行のイメージ(画像:Pexels)
旅行のイメージ(画像:Pexels)

 旅行において、手段が目的化してしまうことは、それほど問題ではないかもしれない。実際、目的がなくても、旅行は若さを保つために有効な活動であることが、最近の研究で明らかになっている。

 2024年8月、豪エディスコーワン大学の研究チームが「Journal of Travel Research」で発表した研究によると、旅行を通じて初めて訪れる場所に身を置くことが、身体活動や社会的交流への参加、さらにはポジティブな感情を生み出し、心身の健康を高める可能性があるという。

 適度な身体活動をともなう旅行は、慢性的なストレスの軽減や免疫システムの過剰な活性化を抑える効果があり、自己防衛システムの正常な機能や自己組織化システムの調整を助けるため、アンチエイジングにもつながるとされている。

 健康がなければ旅は楽しめないが、気軽に旅を楽しむことが、健康を促進する正のサイクルを生み出すことに繋がる。旅好きな人々の間では、このサイクルが自然と形成されやすいといえるだろう。

 また、キャリーケースを引きながら移動するためには体力が必要であり、駅や空港でキビキビと歩く自分があってこその旅だ。

「旅が趣味」という人々の間でも、手段の目的化は広がっており、特にSNS時代では旅行情報が溢れ、その中には“旅行依存症”と呼ばれるケースも見受けられる。

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