地方都市で拡大 バス会社「共同経営」は赤字路線を救えるか? 長崎・熊本を例に考える

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長崎県営バスと長崎バスによる共同経営が4月1日から実施される。赤字路線による負担を分担したり、利便性を高めたりすることで利用者の増加を狙う。

長崎県が直面していた苦境

熊本市内の繁華街(画像:(C)Google)
熊本市内の繁華街(画像:(C)Google)

 熊本県に続いた長崎県だが、その背景には苦しい経営状態があった。

 長崎県交通局は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年度に約6億円の赤字を計上した。赤字は本来約10億円と見込まれていたが、補助金増などで縮小。しかし、2019年度の約2億7000万円から大幅に増えた。

 とりわけ、収入の多かった長崎空港からのリムジンバスが最も多い月で19年度比8割減。長崎市と大村、諫早市を結ぶ高速バスも激減したことが響いた(『長崎新聞』2021年7月7日付)。また、諫早駅前の県営バス諫早ターミナルの新築という投資も控えており、経営状態は極めて厳しかった。

 長崎バスも経営は厳しい。同社は2017年、島原鉄道の子会社化を実施した。島原半島の「地域の足」を引き受けた同社だが、子会社化時点で島原鉄道の所有するバス80台のうち50台は10年以内に耐用年数を超えていた。

 所有するイオン島原店は老朽化で建て替えが必要だった。そのため、バスターミナルの移転も迫られるなど、巨額の投資を余儀なくされていた。なおイオン島原店は2022年3月18日に移転開業している。

 こうしたなか、コロナ禍による利用者の減少が起爆剤となり、2021年6月から始まった長崎県営バスと長崎バスの共同経営の協議はスムーズに進展。2019年と比べて、2035年の利用者は半減すると長崎市が見込んでいたことも、実施を促進させた。

進むバス会社の再編

長崎駅前の様子(画像:(C)Google)
長崎駅前の様子(画像:(C)Google)

 人口減で、地方バス路線の経営はますます厳しくなっている。長崎県内では2019年に佐世保市交通局が運行していた佐世保市営バスが廃止され、すべての路線が民間の西肥バスに移管されている。

 佐世保市営バスの場合、ピークの1965(昭和40)年度には4219万人だった利用者が、2016年には927万人まで減少。駐車場事業などで交通局は黒字を維持していたものの、今後赤字転落は避けられないとして移管に至った(『長崎新聞』2017年12月3日付)。

 そうした場合、どうしても利便性の低下は避けられない。バスを利用するしか選択肢のない交通弱者の問題も発生した。

 特例法の施行によって共同経営が実施されやすくなったことで、路線の経営移管という事態は避けられるようになった。今後も、共同経営という形でのバス会社の再編は進みそうだ。

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