「観光客は自宅に帰れ」 地元住民がプラカードで抗議デモ! スペインの現実は「京都」にも迫るのか? 行き過ぎた“観光公害”を考える

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バルセロナは観光業の急成長にともなう住宅市場の歪みに直面し、2028年までに1万戸の民泊施設廃止を決定。観光客と市民の対立が深刻化する中、持続可能な都市づくりを目指すこの規制は、他都市にも影響を与える重要な前例となる。

経済効果を巡る激しい対立

京都(画像:Pexels)
京都(画像:Pexels)

 こうした政策の転換は、既得権益を持つ関係者たちとのあつれきを引き起こしている。例えば、民泊事業者協会(APARTUR)は、民泊施設はバルセロナ市の住宅総数の0.77%にすぎないとして反発している。

 また、カタルーニャ・ツーリスト・アパート連盟なども集会を開き、市当局の規制に正面から異議を唱えている。彼らは、カタルーニャ州には観光用アパートが約10万戸あり、その多くは年に数日しか使われないセカンドハウスだと指摘。さらに、民泊を廃止したとしても自動的に賃貸住宅に切り替わるわけではないと主張している。市当局の対応を批判し、

「住宅不足を理由に観光客を犯罪者扱いするのはポピュリズムだ」

と非難している。規制反対派の最大の論点は、

「観光業がもたらす経済効果」

が失われることだ。観光客が減れば雇用機会が失われ、最終的に市民が貧困に陥ると警鐘を鳴らしている。

 では、バルセロナ市における観光の経済効果は実際どの程度なのか。市の統計によると、2023年の観光業の割合は全産業中15.7%に達しており、2018年の15.1%からさらに増加している。オーバーツーリズム対策が進んでいるなかでも、観光業への依存はむしろ深まっているのだ。

 さらに2023年の観光関連事業所数は1万1038か所に上り、全雇用者数は15万5104人で前年比8.1%増となっている。

 こうしたデータを見ると、たとえオーバーツーリズムが問題になったとしても、市内の雇用を支える観光産業を制限しようとする市当局の方針に反発が出るのは当然ともいえる。

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