「役目を終えた船」が環境を脅かす、って本当? 船舶の「リサイクル」が急がれるこれだけの理由

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国際海事機関が採択したシップリサイクル条約は、船舶解体にともなう環境汚染や労働者の安全を確保することを目的としていて、2025年に発効する。この条約により、解体現場の環境が改善されることが期待されており、資源の有効活用も進む。船舶の寿命は約20年で、解体は主に発展途上国で行われているため、環境への影響が懸念されている。

循環型経済への道

インベントリ第1部の調査対象となる有害物質(画像:日本海事協会)
インベントリ第1部の調査対象となる有害物質(画像:日本海事協会)

 2025年6月26日以降に建造契約が行われる総トン数500t以上の船舶が対象となり、発効日以前に契約された船については5年間の猶予が与えられる。対象となる船舶には、インベントリ(IHM)第1部の作成と維持管理が義務付けられ、解体する際には本条約の承認を受けている船舶リサイクル施設で行う必要がある。

 IHMとは、船上に存在する有害物質、廃棄物、貯蔵物の位置と概算量を記載した一覧表のことだ。船上の有害物質を明記することで、労働者の安全衛生の確保や環境汚染の防止を図る役割を果たす。インベントリは第1部から第3部まで構成されており、第1部は船舶を建造する際に作成し、第2部と第3部は船舶をリサイクルする際に作成する必要がある。

 第1部には船舶の構造や機器に含まれる有害物質が記載される。アスベスト、PCB、オゾン層破壊物質、有機スズ化合物の4物質といった禁止または制限される物質や、カドミウム、鉛、六価クロム、水銀などの有害物質を記載する必要がある。

 第2部には運航中に生じる廃棄物が記載され、第3部には貯蔵物が記載される。これには油類や廃棄物などの潜在的に有害な品目、家庭用電化製品などの一般的な民生品が含まれる。

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