「役目を終えた船」が環境を脅かす、って本当? 船舶の「リサイクル」が急がれるこれだけの理由
国際海事機関が採択したシップリサイクル条約は、船舶解体にともなう環境汚染や労働者の安全を確保することを目的としていて、2025年に発効する。この条約により、解体現場の環境が改善されることが期待されており、資源の有効活用も進む。船舶の寿命は約20年で、解体は主に発展途上国で行われているため、環境への影響が懸念されている。
リサイクルが求められる理由

船のリサイクルが求められる理由は大きく三つある。
ひとつ目は「環境保護」の観点だ。船舶解体では大量の廃棄物が発生し、適切に処理されないと有害な化学物質が海や大気に流出するリスクがある。例えば、廃棄物にはアスベストや油、ポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害物質が含まれており、これらが適切に管理されなければ環境汚染の原因となる。また、多くの解体が行われる発展途上国では、環境基準が十分に整備されていないため、不適切な解体が行われることが多い。その結果、海洋汚染が発生し、生態系に悪影響を及ぼしている。
ふたつ目は「作業者の安全確保」だ。船舶解体作業は非常に危険で、有害物質の飛散や船体の崩壊による事故が発生する可能性がある。特に発展途上国の解体施設では、安全対策が不十分なまま作業が進められ、労働者の健康被害や死亡事故が報告されている。
三つ目は「資源の有効活用」だ。船舶のリサイクルは、廃船から
・鉄鋼
・非鉄金属
・プラスチック
・木材
などの資源を再利用するための重要な手段となっている。現代の船舶には大量の鉄鋼が使用されており、リサイクルすることで新たな鉄鋼生産にともなうエネルギー消費やCO2排出を削減できる。また、鉄鋼などの資源は自国で再利用され、発展途上国経済にも貢献している。こうした資源循環の促進は、地球環境の保護にとって不可欠な要素となっている。