「役目を終えた船」が環境を脅かす、って本当? 船舶の「リサイクル」が急がれるこれだけの理由

キーワード :
,
国際海事機関が採択したシップリサイクル条約は、船舶解体にともなう環境汚染や労働者の安全を確保することを目的としていて、2025年に発効する。この条約により、解体現場の環境が改善されることが期待されており、資源の有効活用も進む。船舶の寿命は約20年で、解体は主に発展途上国で行われているため、環境への影響が懸念されている。

条約前の有害な廃棄物処理

EU本部(画像:写真AC)
EU本部(画像:写真AC)

 1970年頃から欧米諸国では、有害な廃棄物の

「国境を超えた移動」

が頻繁に行われていた。1980年代に入ると、欧州の先進国からアフリカの途上国に放置された廃棄物が原因で環境汚染が発生するようになった。

 この状況を受けて、国連環境計画(UNEP)が中心となり、有害廃棄物の越境移動に関する国際的なルールとして1989年にバーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約)が採択され、1992年に発効した。

 しかし、バーゼル条約は有害廃棄物についての規定はあるものの、船舶のリサイクルについては言及していなかった。このため、シップリサイクル条約が採択されることとなった。

 さらに、シップリサイクル条約は2009年に採択されたものの、批准国が増えなかった。そのため、欧州連合(EU)では条約を促進するために、香港条約の要件に一部上乗せしたEUシップリサイクル規則を採択し、発効させた。

全てのコメントを見る