物流危機は「M&A」で本当に解決できるのか? 「日本企業は買収下手」説の実態とは? 成功と失敗の分かれ目を探る

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近年、運送業界の人材不足問題や2024年問題への対応など、M&Aや買収が相次いでいる。本当に、業界に突破口を開くことができるのだろうか。

ラストマイル配送の取り込み

さまざまな貨物輸送マーケットのプレーヤー(画像:久保田精一)
さまざまな貨物輸送マーケットのプレーヤー(画像:久保田精一)

 3点目の課題はラストマイル配送である。少子高齢化によって国内の物流需要は頭打ちであり、コロナ以降は宅配貨物の個数も減少傾向にある。そのなかでも拡大を続けているのはEコマースやフードデリバリーなどの「ラストマイル配送」であり、その需要の取り込みが近年の物流M&Aの、恐らく最大の焦点である(図参照)。

 ラストマイル需要を狙ったM&Aは、過去10年ほどの事例からいくつか挙げることができる。比較的最近の事例としては、丸和運輸機関(当時)が、アマゾンの物流拠点運営等で知られるファイズHDにTOBを行い、傘下に収めた事例がある。

 もう少し前にさかのぼると、ヤフーによるアスクルの買収(2012年)も大きな話題を呼んだ。ヤフーはその後、アスクルのラストマイル配送網を活用してLOHACOのサービスに力を入れているが、これが同社の対楽天・アマゾン戦略において重要な意味を持つことはあえて説明の必要もないだろう。

 これに対する楽天グループはというと、日本郵政と資本・業務提携を結んだことが記憶に新しい。これも、ラストマイル需要を見据えた取り組みの側面を持つ。

 このようにラストマイル領域は物流M&Aの主戦場ともいえる状況である。ただビジネスの現状を見る限り、アマゾンやUberなどの躍進が目立つ一方、国内勢は決め手を欠いているのが実態だ。

 これまでのM&Aがラストマイル領域の取り込みに結実していないという意味で、課題が残る領域といえるだろう。

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