直列6気筒エンジンの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(5)
直列6気筒(直6)エンジンは、大型車や高級車で一世をなびかせたが、効率化の波に押されて姿を消した。しかし、直6エンジンはその独特なエンジンサウンドとなめらかな加速性能で熱狂的なファンを持ち、現在は電動化技術の進化により復権の兆しを見せている。
やばいポイント3「かっこいいロングノーズ」
直6エンジンはサウンドや吹け上がりなどドライバーを楽しませてくれる魅力を持っているが、さらに搭載車種がロングノーズになってかっこいいのもポイントだ。
直6エンジンはその全長の長さから基本的には縦置きで配置するエンジンであり、主に後輪駆動車(FR)向けとなっている。横置きにするにはあまりにもクルマが幅広になるので過去の例を見てもほぼ全てが縦置きなのだが、長いエンジンを縦置きするとそれだけエンジンルームが長くなる。クルマの外観的にもボンネット部分が前後に長いロングノーズとなり、デザイン的に伸びやかなプロポーションを得ることができる。
またスポーツカーなどでは乗員の乗るキャビン(デッキ)を最小限にした
「ロングノーズショートデッキ」
というスポーティーなスタイルが伝統的に根付いており、直線と曲線の生み出すデザインは芸術的な名車をいくつも生み出している。
現代ではその長さこそが不利となってコンパクトなエンジンに取って代わられてしまったが、実はこの数年で急に直6エンジンの
「復権」
が始まっている。その理由はエンジンの電動化にあり、ハイブリッド車などの電動車は補機などのコンポーネントを電動化することで全長の短縮化が可能となった。
さらに縦置きした直6エンジンは左右に比較的ゆとりが生まれるため、そのスペースに電動コンポーネントを配置しやすくなった。その結果、直6エンジンがもともと持つ素性のよさが注目され、BMW以外にもメルセデス・ベンツやマツダなどが最新車種に直6エンジンを採用し始めている。