直列6気筒エンジンの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(5)
直列6気筒(直6)エンジンは、大型車や高級車で一世をなびかせたが、効率化の波に押されて姿を消した。しかし、直6エンジンはその独特なエンジンサウンドとなめらかな加速性能で熱狂的なファンを持ち、現在は電動化技術の進化により復権の兆しを見せている。
基本特性と支持理由
直6エンジンがどんなエンジンなのかを、まず説明しよう。
直6エンジンは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの形式のひとつだ。その名前の通り6気筒のシリンダーが全て直列に並んでおり、主要な排気量は3000cc前後が多い。
エンジンの形式としてはオーソドックスな仕様であり、直3エンジンや直4エンジンが単純にサイズアップしたエンジンと捉えるとよいだろう。また、同じ6気筒のV6エンジンはシリンダーがV型に配置された複雑な形状であり、6気筒エンジンのベーシックな形式となる。
直6エンジンは排気量の大きなエンジンを搭載する高級車、大型車向けとして以前は標準的なエンジンであり、1990年代ぐらいまでは世界中の多くのメーカーが直6エンジン搭載車をラインアップしていた。
しかし、6気筒を真っすぐ並べるというレイアウトからエンジンの全長が長くなってしまい、搭載スペースを食ってしまうことからよりコンパクトなエンジンに置き換わってきた。
また、
「衝突安全性の確保」
が大変なことや、横向きにエンジンを配置する前輪駆動車(FF)には搭載しづらいことなどもあり、2000年に入る頃には搭載車種がほぼなくなってしまった。
唯一ドイツのBMWのみが直6エンジンの魅力にほれ込み、現在に至るまで継続的に採用しているが、搭載車種はほんの一部のみとなっている。
しかし、直6エンジンは効率や搭載性以外の面では
「素性がとてもよい」
エンジンであり、その素晴らしい魅力にはいまだに根強いファンがついているのだ。ということで、筆者が感じる「やばい!」と思うポイントについていくつか紹介する。