直列6気筒エンジンの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない【リレー連載】偏愛の小部屋(5)

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直列6気筒(直6)エンジンは、大型車や高級車で一世をなびかせたが、効率化の波に押されて姿を消した。しかし、直6エンジンはその独特なエンジンサウンドとなめらかな加速性能で熱狂的なファンを持ち、現在は電動化技術の進化により復権の兆しを見せている。

やばいポイント1「官能的なサウンド」

 直6エンジンの魅力は何よりクルマを運転して見るとはっきりわかるのだが、まず感じる魅力はエンジンサウンドだ。

 直6エンジンはエンジンを始動させた段階から何か他のエンジンとは違うサウンドを感じるのだが、それはアクセルを踏み込んでいくと如実に表れてくる。加速時には

「シュルルルル」
「ヒュルルルル」

のような雑音のない官能的なサウンドがはっきり聞こえてくるのだが、これは直3、直4エンジンやV6エンジンではまず耳にすることのない澄んだサウンドだ。直6エンジン搭載車を運転するとこのサウンドに包まれてるので実に気持ちいいドライブが楽しめ、スピードを出さなくても心はずっとウキウキなままである。

 直6エンジンが他のエンジンにはないサウンドを響かせる理由はその形式自体にあり、直列6気筒というシリンダー配置が生み出す「完全バランス」のおかげだ。

 エンジンはピストンの上下運動によって主な振動が生まれており、それにともなってエンジンサウンドや騒音が生まれている。直3、直4、V6などのエンジンは振動の発生時

・1次振動
・2次振動
・偶力

といった振動成分が構造上バランスを欠いており、それがエンジン音に「ブルルルル」という振動音を生み出してしまっている。しかし直6エンジンは構造的に上記の振動成分が互いにうまく打ち消し合うことでバランスしており、澄んだ官能的なサウンドとなっている。

 直6エンジン以外のエンジンは不安定な振動成分を打ち消すために別の機能を追加したりするのだが、直6エンジンは余計な機能がなくてもバランスするのでシンプルなエンジンに仕上がるメリットも持っている。

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