若者だって座りたいんだよ! 公共交通「席譲り」論争を分析する

キーワード :
,
鉄道の「席ゆずり」論争は、マナー意識と混雑が引き金。監視ポスターや厳しいマナー指導は根本的な解決にはならない。公共交通の運営方針に改革が必要だ。

「立席」の経済的損失

電車(画像:写真AC)
電車(画像:写真AC)

 道路交通に関しては、渋滞による時間損失を金額に換算した数値がしばしば示される。国土交通省は、渋滞を金額に換算すると

・全国:12兆円(年額)
・首都圏:2.8兆円
・東京都:1.2兆円

などと試算している。

 これは渋滞緩和のための道路投資が必要という説明に使われるが、それならば鉄道の混雑についても同様に考えるべきである。

 鉄道では「渋滞」という現象はないものの、混雑は別の形で利用者の損失として捉えられる。東京都市圏の人の動きは「パーソントリップ調査」「都市交通年報」といった統計があるが、これから計算すると始発から終電まで平均しても終日ふたりにひとりは座れない。

 また国土交通省は「鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル」という資料で、利用者が鉄道で着席している場合を1.0とすると、立席では

「1.5~2.0倍」

の時間に感じるという指標を示している。

 これらのデータから、鉄道利用者が座れないために被っている負担を経済損失に換算すると年間9兆円(平日のみ集計)に相当する。これを利用者が労力として負担していることによって東京都市圏の鉄道輸送が成り立っているともいえるし、その全額とはいわないまでもかなりの額を混雑解消に投資することは不合理ではないはずである。

全てのコメントを見る