若者だって座りたいんだよ! 公共交通「席譲り」論争を分析する
鉄道の「席ゆずり」論争は、マナー意識と混雑が引き金。監視ポスターや厳しいマナー指導は根本的な解決にはならない。公共交通の運営方針に改革が必要だ。
「さっさとつめておしまい」

ノンフィクションライターの窪田順生氏は
「(企業の)広報が発したメッセージというのは、企業の「脳」である経営者の経営姿勢だけではなく、この世の中をどう見ているのか、さらには思想や人間性が色濃く反映されているのだ」
と述べている。鉄道事業者は「お客さま」という用語を表向きには過剰と思えるほど使い、車内トラブルでさえ「お客さま対応」などと表現するほどだが、本当に利用者を「お客さま」と捉えているのだろうか。
ある鉄道事業者のポスターで、座席を詰めて使用するようにという趣旨で、アニメの登場人物が
「さっさとつめておしまい」
と叫んでいるイラストが使われていた。そのポスターを見たのは西日本の地方都市で、通学高校生を念頭に置いているようだが、そこのM市から隣市のS高校まで、高校生の6か月定期券が約5万円、3年間で
「約30万円」
になる。他のいかなるサービス業であれ30万円を払う「お客さま」に対して「つめておしまい」というだろうか。
別のポスターの写真では、意図的なのか痩せ形の人物ばかりが並んで座り、隣の乗客と肩が接して肘も動かせず、膝の上に載せた荷物は隣の人に当たり、誰かひとりでも体の大きな人がいればパンクするに違いない状況が
「望ましいマナー」
として示されていた。