米国EVメーカー「フィスカー」経営破綻! EVアンチが素直に喜べない「3つの破綻原因」とは

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米新興EVフィスカーは経営破綻し、多額の負債と品質問題が原因で株価急落。リビアンとルーシッドも赤字だが資金調達に成功し、事業拡大を進めている。

米新興EVメーカーの今後

ルーシッド本社(画像:ルーシッド)
ルーシッド本社(画像:ルーシッド)

 新興EVメーカーの多くは、多額の負債を抱えたままで起業し、量産が進むにつれて負債を減らして経営を安定化させていく経営スタイルが通例となっている。米新興EVメーカーのリビアンやルーシッドもご多分に漏れず、赤字から脱却できずにいるのが現状だ。

 両社が公表した2024年第1四半期決算によると、

・リビアン:約14億ドル(約2200億円)
・ルーシッド:約7億ドル

の赤字だった。このような経営状況下において、両社とも資金調達の道筋を確実なものにして、積極的な事業拡大を展開している。

 前述のとおり、フォルクスワーゲンは2024年6月25日、リビアンとの合弁会社設立と、最大で50億ドル(約8000億円)の出資を発表した。これにより、リビアンが2026年以降に投入予定の小型SUV「R2」やクロスオーバー「R3」の開発に必要な資金を確保できる見通しとなったが、両社は今後、EV用アーキテクチャやソフトウェアを共有すると見られている。

 また、この発表に先んじてリビアンは、三菱自動車から買い取ったイリノイ工場拡張に15億ドルを投資することを発表していた。一時は、ジョージア州に新工場建設を検討していたが、一時停止の状態でイリノイ工場の立て直しに注力する。

 一方のルーシッドは、サウジアラビア公的資金基金PIFから潤沢な資金援助を受けており、サウジアラビアとアリゾナ州での生産は順調に立ち上がっている。また、電動パワートレインの外販にも取り組んでおり、アストンマーチンとはすでに契約を交わし、現代自動車の高級ブランドであるジェネシスも購入を検討中と伝えられている。

 さらにルーシッドは、経営破綻したフィスカーが販売していた「オーシャン」の使用許可を米国特許庁に2024年5月30日に申請した。ルーシッドの3車種目となるSUVへの適用を検討しているようだが、業界では車名を他社とかぶせないのが不文律となっている。

 ルーシッドがあえてオーシャンを冠したEVを世に出すのであれば、よほどルーシッド版「オーシャン」に自信があるのだろう。ルーシッドのお手並み拝見と行きたいところだが、オーシャンがもたらした不運がルーシッドに及ぶことがないよう祈りながら、本稿の結びとする。

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