米国EVメーカー「フィスカー」経営破綻! EVアンチが素直に喜べない「3つの破綻原因」とは

キーワード :
,
米新興EVフィスカーは経営破綻し、多額の負債と品質問題が原因で株価急落。リビアンとルーシッドも赤字だが資金調達に成功し、事業拡大を進めている。

3月ごろから急激に経営悪化

オーシャン(画像:フィスカー)
オーシャン(画像:フィスカー)

 フィスカーは日本ではあまりなじみがない。そのため、概要についてまず触れておきたい。

 同社は、デンマーク出身でBMWやアストンマーチンでカーデザインを手掛けたヘンリック・フィスカー氏が、EVの製造を目的として2016年に設立した。2020年にニューヨーク株式市場に上場し、わずか2年後の2022年11月には初のEVとなる

「オーシャン」

の生産を開始、翌年6月から納車を開始した。

 自動車業界では異例のスピードで会社設立からEV量産へこぎ着けたが、発売直後から

・走行中の電源喪失
・ブレーキの制動力喪失

など複数の不具合が報告され、少なくとも6人から訴訟を受けたとされている。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、2024年1月から制動力喪失に対して、また同年2月にはパワートレイン不具合に対する調査を開始した。

 この調査が始まったことを契機にフィスカーは経営悪化の一途をたどり、調査開始直後の株価は1ドルを割り込んだ。2024年3月に発表された2023年第4四半期決算の最終損益が4億ドル超の赤字と発表されると株価は15セントまで急落した。

 同月には6週間に渡る生産一時停止に追い込まれ、破産申請に向けた準備が進められているとも報じられた。一時は、日産自動車が出資するとの臆測も流れたが出資者は現れず、経営破綻に至った。一見するとフィスカーが経営破綻に至った直接的な原因は、

「急激なEV需要の減速」

にあるように捉えられるが、実はフィスカーが抱えていたいくつかの

「根本的な原因」

によって引き起こされたと考えるのが妥当である。

全てのコメントを見る