テスラ充電器部門「閉鎖」の衝撃! EV市場“需要鈍化”に新たな課題、影響は国内メーカーにも

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米国に本社を置くテスラは、EVに特化した世界最大級の自動車メーカーだが、充電器部門は2024年4月末で閉鎖され、従業員も削減される。その影響とは。

EV充電器、規格争いの歴史

世界の急速充電器規格(画像:いのうえみつみ)
世界の急速充電器規格(画像:いのうえみつみ)

 テスラが独自に開発したスーパーチャージャーは、実は世界標準になりかけていたのだが、今回の事態を受け、その先行きは不透明となった。

 EV用急速充電器は、スーパーチャージャーのほかにもさまざまな規格が併存しており、世界的に統一されたものは存在しない。は10年以上前から争われており、米国だけでなく、日本や中国なども自国の規格を世界標準にしようと動いている。

 性能や通信方式などの仕様に大きな違いはないものの、コネクタ形状はそれぞれ異なり互換性がないため、統一規格を採用すれば多大な利権が得られる。かつては米国を中心としたCCS(複合充電システム)が有力候補と見られていたが、2022年にテスラが独自規格のNACS(北米充電規格)を発表すると、一気に世界標準の有力候補となった。

 NACSはテスラ車専用の規格だったが、テスラが規格情報を公開すると、多くの自動車メーカーがNACSへの支持を表明した。米国ではNACSコネクタの規格化により、政府からの補助金などが期待されている。また、従来のスーパーチャージャーが大量に設置されていることも、自動車メーカー各社がNACSに対応するメリットを見いだすきっかけとなった。

 米大手自動車メーカーのゼネラルモーターズやフォード、欧州のフォルクスワーゲンもNACSへの支持を表明しており、もはや急速充電器規格では実質的にテスラの一人勝ちの様相を呈していた。

 こうしたなか、テスラは開発部門を閉鎖し、今後の普及に向けた動きも見えないことから、急速充電器の規格争いが再燃する可能性もある。米国内でテスラと提携して、急速充電器の設置を検討していた企業も今回の閉鎖で不可能となり、予想以上に多くの企業が影響を受けることになりそうだ。

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